住宅ローン金利はどう決まる?金利予想の仕方

住宅ローンを借りる際に、金利が決定するタイミングに注意を払う必要があります。
はじめて住宅ローンを借りる人はよく勘違いしてしまうのですが、適用される金利が決まるのは、申し込みをした日でも契約日でもありません。住宅ローンは、実際に融資が行われた日の金利が適用されます。
もしも、住宅ローンの準備はできているのに、物件の引き渡しの手続きがなかなか進まい・・・となると、思っていた金利で借りれないことになってしまうかもしれません。
逆にもしも翌月の金利が下がりそうだと分かっていれば、融資のタイミングを遅らせることで、有利な金利で借りることもできます。
0.1%の金利差があると、毎月返済額が1400円、総返済額では約56万円も違ってきます。なるべく安く借りるためにも、金利の低いタイミングで借りることが重要です。
【借入額】3000万円
【返済額】35年
【返済方法】元利均等返済
金利 | 毎月返済額 | 総返済額 |
0.5% | 77,875円 | 3,270万円 |
0.6% | 79,208円 | 3,327万円 |
0.7% | 80,556円 | 3,383万円 |
0.8% | 81,918円 | 3,441万円 |
0.9% | 83,294円 | 3,498万円 |
1.0% | 84,685円 | 3,557万円 |
変動金利は短期プライムレートで決定
変動金利は、「短期プライムレート」によって、金利が左右されます。短期プライムレートは、4月と10月の年2回、更新されるため、大きな動きがないかチェックが必要です。
短期プライムレートとは、銀行が優良企業に対して、もっとも安く貸し出す時の金利です。日本銀行の公式サイトで、短期プライムレートの金利が確認できます。
金利 | |
短期プライムレート | 1.475% |
変動金利 | 2.475% |
住宅ローンの変動金利は、この短期プライムレートにプラス1%を上乗せした金利となっています。かなり単純な仕組みですね。
ただし、実際に住宅ローンはもう少し複雑な仕組みになっています。
短期プライムレートにプラス1%を上乗せした金利を、「基準金利」と呼びます。
実は変動金利の基準金利は、ほとんどの銀行でまったく同じ数字となっています。しかし、図にある通り、銀行ごとに優遇金利に違いがあり、借りた際の金利に差ができているのです。
基準金利から、優遇金利を差し引いた金利が、実際に適用される金利になります。
固定金利は10年国債を基準にしている
固定金利の場合は、変動金利とは別の基準を持っています。
固定金利は、10年国債を基準に金利が決定されます。
10年国債の金利はインターネット上で無料で確認することができます。筆者はこちらの日本相互証券株式会社さんのサイトをチェックしています。
金利 | |
10年国債 | 1.0% |
固定金利 | 2.0% |
固定金利は、10年国債の金利にプラス0.5%~1.0%ほどを上乗せした金利が利用されています。固定金利は、返済期間によって金利が上下し、また銀行によって金利がまちまちです。
ピッタリといくら、という数字を出すことはできませんが、大まかな予想はできます。
例えばこの図の左端、6月9日の時点では0.5%となっていますから、プラス1%を足した1.5%が固定金利として利用されていました。しかし次第に金利が下がり、年末12月ごろには0.3%となっています。このころには、固定金利も同じく金利がさがり、1.3%くらいでした。
年が明けた2月ごろに、日銀がマイナス金利を導入するという大きなニュースがあり、国債が急落する事件がありました。2月4日の時点でなんと0%、さらには金利がマイナスとなり、5月にはマイナス0.1%まで下がりました。
住宅ローンの固定金利はというと、国債の金利マイナス0.1%に1.0%を上乗せして、0.9%というとても低い金利となったのです。1年間で0.6%も金利が下がったのは驚きです。
このように、10年国債と住宅ローンの固定金利は連動しているので、10年国債の動きを追っていけば、翌月の金利を予想することもできます。
フラット35の金利
フラット35は、銀行からお金を借りますが、実はそのお金は住宅金融支援機構というところから出ています。
元手となるお金は、証券の運用によって作られています。つまり、フラット35の証券の価格によって、私たちが借りるフラット35の金利も変わるのです。
フラット35の債権情報は住宅金融支援機構の公式サイトから確認できます。
公式サイトからPDFをダウンロードすると、このような表が掲載されています。
フラット35では、この「表面利率」にプラス0.7%~0.74%を上乗せした金利が適用されています。
フラット35の証券情報は、毎月20日前後に更新されるので、翌月の金利を予想するために利用できます。
金利に影響を与える要因
短期プライムレート、10年国債、フラット35証券、さまざまな要因で住宅ローンの金利は動きます。
ではこれらの基準となっている金利は、どんなときに上がったり下がったりするのでしょうか?
- 政治
- 市場の動き
- 天災
まず最初に考えられるのが、政治的な影響です。
例えば、2012年に民主党から自民党に政権が変わった際に、株価が2倍以上に一気に跳ね上がりました。日本円も90円弱の円高から、120円前後の円安になりました。輸出企業の多い日本では、円安になると景気が良くなると言われますよね。
事業拡大や設備投資に前向きな企業がお金をたくさん借りる様になれば、金利も次第に上がっていきます。
2つ目の大きな要因は、市場の動きです。バブル崩壊やリーマンショックなどの影響で、金利が大きく下がりました。バブルのピーク期には変動金利が8%ほどだったので(現在は2.5%弱)、どれだけ高かったのか分かりますね。バブル期には、不動産を買えばかならず得するとまで言われていました。実際に筆者の両親は1985年に家を買って、1988年に中古で売ったものの、数百万円の利益が出たそうです。
3つめの要因として天災があげられます。日本では5年に1度の頻度で巨大地震が都市部を襲います。
東日本大震災では復興支援のために、国債の増発を行いました。国債が増えると、国債の金利が上がります。つまり、住宅ローンの金利が上がるのです。実際に東日本大震災の際には金利が0.3%ほど上昇しました。
素人でも簡単に翌月の金利を予想するには?
住宅ローンの金利の仕組みを説明しましたが、やはり金利に詳しくない方にとっては、将来の金利を予想するのは難しいです。
そこで、誰でも簡単に翌月の金利を予想できる方法をご紹介します。
ソニー銀行では、毎月15日前後に、翌月の金利を発表します。
ソニー銀行が金利を下げたのに、他の銀行が金利を上げてしまっては、お客さんを全部ソニー銀行に持っていかれてしまうので、他の銀行も同じように金利を下げます。
もちろん銀行ごとに上げ下げの幅は異なりますが、ソニー銀行を確認すれば、おおまかにどのように金利が動くのか予想することができるのです。
来月は金利が下がりそうだな、と思ったら融資のタイミングを調整することもできます。
当初引き下げ・期間選択型にご注意
住宅ローンプランの中には、「変動金利(半年型)」「当初引き下げ」「期間選択型」といった記載がされている場合があります。
これらのプランは一見お得にみえますが、結果的に割高になってしまうので注意してください。
変動金利(半年型)
基準金利 | 優遇金利 | 適用金利 | |
借入時 | 1.6% | 1.0% | 0.6% |
6カ月後 | 0.65% | 0.95% | |
借入額500万円未満 | 0.25% | 1.35% |
新生銀行の変動金利には(半年型)という記載がされています。
このプランでは、半年後に優遇金利が大きく下がります。
はじめは優遇金利が1%あるので、0.6%という低金利で借りれるものの、わずか半年後に優遇金利が0.65%まで下がります。つまり、適用金利が0.35%上がり、0.95%というかなり割高になってしまうのです。
半年型という記載のない他の銀行では、0.6%前後でずっと借りれますから、新生銀行で借りるのは損ですね。
新生銀行では、事務手数料が5万4000円で借りられるという特徴があります。他の銀行では50万円以上しますから、、住宅ローンに詳しくない人は、金利が低くて事務手数料も安い!と思ってしまうのです。
当初引き下げ
固定金利の中には、「当初引き下げ」というプランがあります。
その名前のとおり、借りはじめの一定の期間は、割安な金利で借りられます。ただし、引き下げ期間が過ぎると、通常よりも割高な金利になるというデメリットもあります。
当初引き下げ | 全期間引き下げ | |
~5年 | 1.7% | 1.3% |
6年目 | 0.7% | 1.3% |
この表は、優遇金利の変わり方を示しています。基準金利から優遇金利を引いた金利が適用されますから、優遇金利が高いほど、返済額が下がります。
当初引き下げの期間は5年くらいのことが多いです。
例えば基準金利が3.0%だった場合、当初引き下げプランでは1.3%になります。通常のプランでは1.7%ですから、かなり返済額を抑えられます。
ただし、6年目以降になると金利が逆転してしまいます。当初引き下げプランの優遇金利が0.7%になってしまい、返済金利は2.3%に跳ね上がります。はじめの5年間は0.4%安かったものの、6年目以降は0.6%高くなるので、最終的な返済額は大きくなります。
「固定金利が安い!」というキャンペーンをよく見ますが、じっくりと読み込んでみるとじつは当初引き下げプランだった、ということがよくあります。
期間選択型
固定金利は、固定期間を指定することができます。例えば、20年の返済のうちはじめの10年間は固定金利で借り、11年目以降は変動金利で借りるといったプランがあります。
2年固定、3年固定、5年固定、7年固定、10年固定、15年固定・・・といったプランがこれに当たります。
固定金利 | 変動金利 | ||
~10年目 | 基準金利 | 3.0% | 2.5% |
優遇金利 | -2.0% | -2.0% | |
適用金利 | 1.0% | 0.5% | |
11年目~ | 基準金利 | 3.0% | 2.5% |
優遇金利 | -0.5% | -0.5% | |
適用金利 | 2.5% | 2.0% |
ただし、固定期間が終了した後の変動金利は、はじめから変動金利を借りていた場合よりも割高な金利が適用されてしまいます。
この図の場合、はじめから変動金利を借りていた人は、0.5%で借りられます。しかし、10年固定金利で借りた場合、10年までは1.0%の固定金利、11年目からは2.0%の変動金利となります。
変動金利なのになんで高くなるの?と思うかもしれません。これは、11年目になると優遇金利が下がるからです。
契約書をよーく見るときちんと説明されていますが、住宅ローンに不慣れな人ではなかなか気づかないようになっています。情報弱者をおとしめるようなプランですが、実際にこのような住宅ローンがまかり通っているのが現実です。
【4月最新】フラット35おすすめランキング
はじめて住宅ローンを借りる人、変動金利には不安があるという方には、長期固定金利が安く借りられるフラット35がおすすめです。フラット35は通常の固定金利よりも、0.5~1.0%ほど金利が安くなっています。
30年以上の長期返済プランでも、通常の住宅ローンの10年固定などと同じくらいの金利で、さらに事務手数料が半額で借りることができます。初期費用を抑えることができるので、とても助かります。
また、国の運営する機関が融資を行っているため、保証会社を利用する必要は無く、審査が比較的甘いと言われています。審査に不安がある、他の銀行で審査落ちしてしまったという方は、フラット35をトライしてみてください。
住宅ローンの申し込み時期と、金利の決定のタイミングには注意が必要です。返済額に適用される金利は、契約時ではなく融資が行われた月の金利です。申し込みや契約を1月にしても、融資実行が2月になると、適用金利は2月の金利となります。住宅ローンは申し込みや審査などの手続きに1ヶ月以上時間がかかります。狙っていた金利と違っていた・・・とならないように、早めに手続きをすすめましょう。
15~20年 | 0.88 % |
21~35年 | 0.88 % |
事務手数料 | 借入額x1.1% |
フラット35の専門ネット銀行。フラット35のシェアNO.1であり、フラット35を借りた人の4人に1人はARUHIを利用しています。専門家とうたっているとおり、フラット35の様々なサービスを取り扱っており、ユーザーの環境に合わせて柔軟に対応してくれます。最長50年返済ができるフラット50も取り扱っています。
特に、自己資金の割合によって金利が低下するプラン(ARUHIスーパーフラット)があり、国内で最も安くフラット35を借りられます!
また、ARUHIは審査が非常に速く、審査が比較的あまいという口コミも集まっています。他の銀行で審査が落ちてしまった時の滑り止めとして、申し込んでおくという人も多いです。
- 自己資金の割合によって金利割引!
- 仮審査:最短当日
- 本審査完了:最短3営業日
- 審査があまいと人気◎
15~20年 | 1.04 % |
21~35年 | 1.17 % |
事務手数料 | 借入額x1.1% 借入額x0.99%(借り換え) |
安いが売りのネット通販のノウハウを住宅ローンにも活用し、非常に低い金利でサービスを提供しています。楽天銀行に口座を持っているとコンビニATMが無料で使えたり、楽天ポイントに特典がつくなど、生活密着型のサービスが特徴。
また、楽天銀行フラット35は借り換え時の事務手数料が大きく割引され、借入額x0.99%となります。フラット35の借り換えなら楽天銀行がおすすめです。
- 長期固定金利が安いフラット35
- 借り換え特典で事務手数料が割引
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15~20年 | 1.04 % |
21~35年 | 1.17 % |
事務手数料 | 借入額x1.1%※1 |
フラット35業界NO.1の低金利。事務手数料も借入額x1.1%※1と、通常の住宅ローンの半額で借りられます。35年の長期借り入れも、非常に低い金利で借りられます。はじめてフラット35を借りる方には住信SBIネット銀行がおすすめです。
- フラット35業界NO.1の低金利
- 事務手数料が通常住宅ローンの半額
- 三井住友信託銀行のグループ会社でサポートも充実
【4月最新】変動金利おすすめランキング
金利が非常に安くて魅力的な変動金利ですが、返済額が増えてしまうかもしれないデメリットを持ちます。借入金額を抑え、短期返済にすることで変動金利のリスクを最小限に抑えましょう。目安として、借入額2000万円以下、または15年以内の短期返済の方には変動金利がおすすめです。
今借りている住宅ローンを、もっと安いプランに借り換えたいという方にも、変動金利がおすすめです。金利の低い変動金利なら、返済額をグッと減らすことが可能です。
変動(新規) | 0.44 % |
変動(借り換え) | 0.428 % |
10年固定 | 0.66 % |
事務手数料 | 借入額x2.2% |
ネット銀行住宅ローンの最大手。変動金利は業界最安値の金利に加えて、170万円相当の全疾病付き団信が無料とサービスも充実。短期間の返済プランの方、借り換えを検討している方には、住信SBIネット銀行の変動金利プランをおすすめします。
- 業界NO.1の低金利で借り換えがお得
- 170万円相当の全疾病付き団信が無料
- 三井住友信託銀行のグループ会社でサポートも充実
変動(新規) | 0.41 % |
変動(借り換え) | 0.41 % |
10年固定 | 0.525 % |
事務手数料 | 借入額x2.2% |
三菱UFJ銀行とKDDIが共同出資する、ネット銀行です。変動金利の安さが魅力で、特に借り換えユーザーにおすすめの住宅ローンプランです。
じぶん銀行の最大の売りは、がんと診断されたら残ローンが50%完済される、「がん50%保障」が無料で利用できることです。
また、手続きをオンライン上が全て行うことが可能で、郵送の手間や収入印紙の購入をする必要がないの嬉しいです。
- 変動金利の安さNO.1
- がん50%保障が0円
- 資金移動が0円
- 収入印紙が不要
変動(新規) | 0.52 % |
変動(借り換え) | 0.47 % |
10年固定 | 0.57 % |
事務手数料 | 借入額x2.2% |
ショッピングモールを全国展開するイオングループの運営するネット銀行です。変動金利の安さが強みで、借り換えを検討している方におすすめの住宅ローンです。
イオンの各店舗に支店があり、相談やATMの利用がしやすいというのは、ネット銀行の中では非常に珍しいです。住宅ローンの返済のみではなく、メインバンクとしても利用でき、家計の管理もとても楽になります。
イオン銀行で住宅ローンを借りると、イオンカードがゴールドカードに格上げされ、イオングループの買い物が5%割引、イオンラウンジが無料で利用できるようになるといった特典もあります。お客様感謝デーでは通常の割引と合計して10%OFFになりますので、イオンでお買い物をすることが多い家庭におすすめします!
- 変動金利が安く借り換えにおすすめ
- イオンの買い物がすべて5%OFF!
- イオンモールに支店があり、相談やATMが便利